[2013年4月改組]
2013年4月、統合生命医科学研究センターへ発展し、新たな研究展開を推進します。 > 統合生命医科学研究センター
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Activity

アレルギーを治す

1. アレルギーは免疫反応の一種

免疫は、体内に侵入したウイルスなどの外敵や、がん細胞など異常な細胞を見つけこれを排除します。しかし、免疫が、 花粉や食物、ダニなどの異物に対して反応し、特にIgEと呼ばれている抗体を多く産生すると、アレルギーを起こします。



2. 花粉症アレルギーの完治を目指して

現在行なわれている治療法
現在国民の約1/3が花粉症に苦しめられていますが、花粉症の患者さんの多くはスギ花粉を原因としています。花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみなどの種々の症状に対処するために、 抗ヒスタミン薬などを用いた対症療法が行われています。しかし、完全に治すためにはアレルギー反応自体を止める根本治療法が必要です。

根本治療法として現在行なわれているものには、減感作療法があります。減感作療法は、 天然スギ花粉の抽出液を頻回に注射して身体を花粉に慣らす治療法です。しかし、治療に痛みを伴う事、 2年以上という長期継続が必要であること、患者さん体内のIgE抗体が治療エキスに含まれている天然スギ花粉成分に反応し、 アナフィラキシーショックを誘発する恐れがあることなどから、新しい根本治療法の開発が求められています。

スギ花粉症をなくすワクチンをつくる
理研RCAIでは、この問題の解決のために、根本治療のためのスギ花粉症ワクチンを開発しました。 このワクチンは、2種類のスギ花粉抗原を連結して構造を変える工夫をしています。このワクチンには患者さん体内のIgE抗体が反応せず、 アナフィラキシーショックが起きにくい、より安全なワクチンとなっています。

このスギ花粉症ワクチンの予防・治療効果はすでに動物実験で確認しています。ワクチンをあらかじめ投与しておけば、 天然のスギ花粉によるIgE抗体の上昇がほとんど起きなかったことから、花粉症の高い予防効果が期待できます。 また、アレルギーを発症した後に投与しても、治療効果があることを確認出来ました。


企業や病院と協力
動物実験で効果を確認したスギ花粉症ワクチンを実際の患者さんに投与するためには、今後、臨床試験へむけた橋渡し研究を行う必要があります。理研では企業とRCAIが主体となった連携研究室を構築し、ワクチンを医薬品化するため、患者さんへの投与基準を満たしたワクチンの製造・毒性試験を開始します。また、全国の7大学(千葉大学、山梨大学、福井大学、三重大学、岡山大学、鹿児島大学、日本医科大学)と厚生労働省アレルギー予防・治療研究班と 協力してアレルギー臨床ネットワークを発足しました。このネットワークを通じ、患者さんを対象とした臨床研究を進める計画です。


動画で学んでみよう



3. 食物アレルギーの完治をめざして

食物アレルギーは、乳幼児期に多い病気で、原因となる食べ物を食べたあとに起こります。 現在のところ根本的な治療法はなく、原因となる食物を食べないことで症状が現れないようにし、 自然に治るのを待つ、除去食療法が行われています。しかし成長期にある患者さんとご家族の負担は甚大です。 このため、より積極的に耐性を獲得する急速飽和免疫療法の確立が進められています。この方法は、 医療機関での充分なケアのもとで短期間の内にアレルギーの食物を少量ずつ摂食し、最終的に 日常生活で支障のない量まで食べられるようにする治療法です(下図)。安全性と有効性により優れた方法の確立、 および治療効果の科学的な背景を明らかにするために大学、医療機関と理研との連携で研究が進められています。