[2013年4月改組]
2013年4月、統合生命医科学研究センターへ発展し、新たな研究展開を推進します。 > 統合生命医科学研究センター
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Laboratories

免疫転写制御研究グループ

谷内 一郎

グループディレクター谷内 一郎

  免疫転写制御研究

免疫系の発生過程において、ゲノムといわれる遺伝情報のなかから必要な情報は読み取り、不要な情報は読まないといった制御が行われます。遺伝子情報を読む事を転写といい、その制御は転写制御と言います。近年、転写制御研究で注目されているのがクロマチン構造の役割です。特異的なクロマチン構造の修飾が転写の活性化や不活性化の両方に関与すること、また特異なクロマチン構造が細胞分裂を超えて維持されることが細胞機能の維持に重要であることが明らかになってきました。このようなクロマチン構造を介した制御はエピジェネティックスと呼ばれ、生物の分化プログラムを解く鍵と思われます。転写制御研究チームは免疫系の中でも獲得免疫系で中心的な役割を果たすリンパ球の分化プログラムを転写制御の側面から研究し、特にエピジェネティックスの意義とその制御機構を解明し、リンパ球分化の仕組みを明らかにすることを目標としています。

クロマチン構造の研究を行うには研究対象となる遺伝子座が必要です。当研究チームでは遺伝子活性化のモデルとしてTCRb遺伝子座を、遺伝子不活性化のモデルとしてCD4遺伝子を研究対象としています。どちらの遺伝子座もRunx転写因子ファミリーにより、クロマチン構造の改変がおこり、活性化と不活性化という相反する結果がもたらされます。当研究チームでは、遺伝子標的法を用い、DNA上の制御領域やその結合因子に変異をもつ遺伝子改変マウスを作製、解析することで遺伝子活性化、不活性化のエピジェネティックス制御を明らかにしていきます。
  将来的にはエピジェネティックス制御を用いた新しい転写制御法を開発し、免疫疾患の治療に応用出来る人為的なリンパ球分化制御法を開発することを目指しています。

図1. 胸腺細胞分化におけるRunxファミリーによる転写制御

図1. 胸腺細胞分化におけるRunxファミリーによる転写制御

CD4遺伝子はRunx3により分化段階特異的なエピジェネティックな遺伝子不活性化を受ける。TCRβ遺伝子はRunx1により活性化され、遺伝子再構成と転写活性化が起こる。

図2. 分化段階で異なるCD4遺伝子の転写制御機構

図2. 分化段階で異なるCD4遺伝子の転写制御機構

CD4遺伝子はCD4サイレンサーの機能により異なる分化段階で異なる機構で転写抑制を受ける。未熟DN胸腺細胞ではタンパク質相互作用による可逆的な転写抑制が起こるのに対し、成熟細胞傷害性Tリンパ球ではクロマチン修飾による不可逆的な安定した遺伝子不活性化が起こる。この際異なるRunxファミリーがそれぞれの転写抑制に関与する。

所在地:横浜研究所 北研究棟4階